建築の学校でする勉強ってどんなものか、案外知らない人が多いのではないでしょうか。
当のKさんにしても、まったく未知の世界だったそうです。

 当時はまだパソコンと言う便利なものが無いですから(1970年代),
当然手作業で、紙やトレーシングペーパーの上にチマチマと書き込む時代です。

 真っ先に1年生に出された課題は、A1サイズのケント紙に縦横に直線を引くことでした。
それも間隔を5cmから始めて、4cm→3→2→1cmと狭めて線を書き、
最後は1mmを5等分した間隔まで…。

 この時点で、Kさん、自分の選んだ進路に、計り知れない恐怖を感じたそうです。
「1mmの5等分これまでの人生におよそ縁のなかった尺度を
目の前に、更に隣で見事に綺麗な線を描いていく学友を見て、
この後何度も考えることになる「退学して再受験」という思いを抱いた
最初の瞬間だったそうです。

 彼が4年間を曲がりなりにも過ごし、再受験しなかったのは
決して専門に馴染んだのではなく、学費を納め、息子の受験合格を
喜んでくれた両親への申し訳なさが歯止めになっていたことは
ひとつの大きな要素だったようです。

 以降、その後の学生達の進路のその後や、業界での設計士のこと等
Kさんの話を聞きながらご紹介していこうと思います。。。。。

        
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